永井路子 流星 お市の方
永井路子 流星 お市の方
いわずもがな、「お市の方」とは、美貌の誉れ高い信長の妹であり、
一度は同盟を結んだ浅井長政の妻であり、また、本能寺で信長が倒れた後は、柴田勝家のもとへ嫁ぐ。
また、浅井3姉妹と言われる、茶々、お初、おごうの母でもある。
著者の描く歴史小説は、かなり他の小説と見解を異にしているが、本書も、それが顕著であり、
世に出る前の「うつけ者」と言われた信長に対する「妹」としての受け止め方、
信長の正妻の濃姫との関係、浅井長政、その長政の父久政との駆け引き、
最後の夫、柴田勝家に対する考え、それが、著者の独自の目で、描かれる。
特に、柴田勝家に対するお市の方のスタンスは、津本陽の描く2人とは、全く対照的で、本書に依れば、
積年の恨みを晴らす為、柴田勝家に嫁ぎ、秀吉との戦いを挑んだのは彼女自身の意志としている。
歴史小説の面白さの1つは、こういう所にもある。
母親であるお市の方が柴田勝家と共に死を選んだ時から、
その子、浅井3姉妹、お茶々、お初、おごうの物語が始まる。