影武者徳川家康〈上巻〉
隆 慶一郎
定価: ¥ 2,243
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発売日: 1989-06
発売元: 新潮社
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キャラ立ち抜群の時代小説
時代小説なんてほとんど読まない私でも、怒涛のごとく読み切ってしまいました。
上・中・下巻の大作ながら、そのボリュームがまったく気になりませんでした。
実はこれが影の史実なのでは?、と思い込んでしまうほどの描写。
主人公・二郎三郎と、それを取り巻く数々の魅力的な脇役たち。
特に二郎三郎は影武者ながら、自分を含む“道々の輩”のための
ユートピアを作り上げることに心血を注ぎ、
今時の施政者ではまずありえないよなぁ、と思わず考えてしまいます。
作者が、すでに鬼籍に入ってしまったのが悔やまれます。
衝撃的大作!
関ケ原の合戦以降の徳川家康は影武者で,二代将軍秀忠との間で凄まじい暗闘が展開されていた,という大胆で壮大な構想に基づき,影武者家康の死までを描いた,衝撃的な大作.『徳川実紀』などいくつもの史料に照らされながらの内容は史実と思えるほどで,本当に影武者だったのではないか,と疑ってしまう.通説と異なる秀忠像,柳生像をはじめ,著者独特の漂白の民に対する考察なども新鮮で歯切れ良く,すばらしい作品だと思う.読み終わると,影武者家康がある種のユートピアを作ろうとした街,駿府に行ってみたくなる.ただ一箇所,上巻で描かれる影武者の若き日,一向一揆での活躍のくだりはやや冗長かも.でも,それを補って大いに余りあるお勧めの作品.
歴史小説の金字塔
本作品は著者の出世作である。長編の本作品は家康があっけなく暗殺されるあたりから始まるところに驚かされる。そのための苦肉の策として影武者世良田二郎三郎が家康の身代わりになった。というより本当に家康に成り代わった。影武者家康自身も完全にその気になって采配をふるっているが、秀忠はその事を知っていながら事実を言い出せないもどかしさが面白い。その上、ようやく秀忠の時代が来ると思ったら、今度は影武者家康の大御所政治で秀忠を翻弄する。このあたりは少し笑ってしまった。
著者は家康影武者説の証拠をいくつも挙げていて、なかなかリアルな印象だ。ただ、本作品は地方新聞の連載小説として掲載されたためか、作品全体の構成が少し緩慢になっている感を受ける。しかしこの卓越した着想が、その程度の事は凌駕してしまう。本作品は歴史小説界の金字塔だ。