新選組の哲学
福田 定良
定価: ¥ 399
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発売日: 1986-08
発売元: 中央公論社
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人の姿
新選組関連の書籍は世に多いが、本書は新選組の紹介を目的とした内容ではない。題名からすると新選組隊士たちの美学や、あるいは士道を貫くサムライの哲学を連想するが、そういうものとも違う。
この本では、隊士たちの日常の姿、とりわけ人間の滑稽な様、哀れな様が主な題材になっているのである。
著者が新選組を愛する「老人」から逐一聞き書きした話を小説風に紹介、そのエピソードごとに著者と老人の対話形式で考察してゆくという構成になっている。
哲学といっても堅苦しいものではないので大変に読みやすい。すでにイメージが固定化されている隊士像に独特の考察を加え、意外な解釈を示している点が興味深い。
しかし、本書は史実に忠実な内容を展開しているわけではない。あくまで独自の「解釈」に拠っている。だから新撰組を史実に沿って知りたいと思う人には、別にしかるべきものをお求めいただく方がいいだろう。余裕を持って「人間」というものを考察したい人におすすめである。
何度読んでも楽しい
哲学や学問の面白さは、日常的な何気ない会話の中でも充分味わえる。
ソクラテスやプラトンのような論理的な対話の面白さは、日常の雑談の中から自然に感じられるようになればいいのではないか。
哲学者である著者は、文庫本のあとがき(本人は「言い訳」としているが)でそう述べている。
そのための題材として、「新選組隊士たちの日常」が描かれているというのが本書の正しい姿かな。
こう書くと変に堅苦しい内容だと誤解されてしまうかもしれないが、まったくもってそんなことはない。
「日常的な雑談」というものに重点を置いているだけあって、内容は会話文が多くを占める。
「老人」の夢自体もそうだし、一つ一つの物語の前後に付く、前フリと解説も「老人」と著者との対話の形。
しかも隊士たちの絡みが絶妙とくれば、こんなに読みやすい本はない。
そのうえで人間というものに対して哲学的に考える、ちょっとしたキッカケを与えてくれる。
個人的にお気に入りの話は『教えたがり屋・武田観柳斎』。
これだけ観柳斎に感情移入できたのは、三谷『新選組!』と本書だけだ。
☆5つあげたいところだけど、新選組作品として『新選組血風録』の二番煎じであることを自他共に認めている以上、この本に☆5つあげるのもな?、ということで4つ。
気持ち的には5つですw
ユーモラスにあふれた作品です
一般的な新撰組小説と違うところは、新撰組マニアのよりたわいない雑談と人生や人間における哲学が散りばめられているところです。哲学とはいっても固い内容ではなく、自然に読めると思います。(テーマは深いですが)
しかしフィクション的要素が色濃いので、万人向けではなく、読者を選びます。筆者も言っていましたが、歴史資料及び史実を重視したいという方、自分ですでに世界観を作り上げている方には満足できないでしょう。(これが星を2つ減らした理由です)
また、筆者が1965年制作のドラマ「新撰組血風録」がお好きなようで、登場人物のキャラクターがこれに良く似ていると思います。ですから、あのドラマを見た方は所々でにやりとすることがあるかもしれません。