坂本竜馬
池田 敬正
定価: ¥ 735
販売価格: ¥ 735
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発売日: 1964-06
発売元: 中央公論新社
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多少古い小著だが竜馬の評伝としてはお薦めできる
「竜馬ファン」と呼ばれる方が多数いるこの維新の傑物だが、いざその実像を…と思っても、歴史家による史実のみを記した評伝となるとほんのわずか。本書はコンパクトなものとしては現在入手可能なほぼ唯一のもの。が、小著でも竜馬の生まれから、その生涯、またその思想の発展が、急速に変化する時代状況とともに、一通りはきちんと書かれていて、まずは満足できる書となっている。むしろ、これだけのものがあると余程の力量がないと本書を大きく超えるものは書けなかったのかもしれないとさえ思われる。竜馬という人物の真の姿を知りたいという方には十分にお薦めできる書である。
ただ、40年前の出版であることはいくつかの点でその痕跡を残してる。まず、その後の「竜馬研究」がどの程度の発展があるか、これは私には解からない(本質的な点で彼の姿を見直さねばならないような新知見があるようには感じられないが…)。ただ、幕末・維新期の総合的な理解や評価についての40年間の史学の進歩は著しいように思われるから、その点に関しては若干の注意があるかもしれない。但し、愚見によれば本書の基底となっているマルクス主義的歴史観(この点で本書にアレルギーを起こされることを憂えてであるが)は、本書刊行以降の世界の変遷、とりわけソ連型社会主義国家の崩壊に関わらず、多くの修正を得て歴史学のひとつの根本理解としての地位は失ってはいないだろう。その典型的な証しが本書の巻末に著者が記している、「現在」の社会が「新たな洗濯」を、従って竜馬的存在を求めているという意味の言葉。本書の刊行時はまさに敗戦後の日本が「高度成長」の波に乗った時期であり、著者が想定したのは「経済的大国」となった日本の社会であろう。それは達成されたがバブル経済は崩壊し、もっと重要なことは世界レベルでの貧困・戦争・環境破壊である。この世界の「洗濯」は極めて困難だが避けることはできない。