源義経
角川 源義

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発売日: 2005-01
発売元: 講談社
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ただの便乗本ではありません
便乗出版のひとつだろうが、これは貴重な一冊。1966年に初版が出たもので、久々の再刊だ。本書の面白いところは国文学者・民俗学者の角川と歴史学者の高田との共著である点。ご承知のように義経の生涯はほとんどが伝説に埋もれており、史実として確認できる部分は源平の合戦の数年間しかない。
誕生から弁慶との出会いまでを角川が、武将としての活動期を高田が、そして逃亡から死までを再び角川が執筆するという構成になっている。
角川が担当した部分は伝説の発生にまつわる論考だ。錯綜する情報からほんとうの義経の一生をさぐろうとするものではない。具体的な手がかりがゼロに等しいのだから、実際それは無理というもの。むしろ数々の伝説の形成と伝承のありようをさぐることに力点が置かれている。『義経記』がはらむさまざまな矛盾は伝承の管理者がちがうためだ、という指摘には目からウロコの思いがした。寺社に所属した琵琶法師、遊行僧、唱門師たち、山伏たちが布教のために義経物語を利用したのである。当然義経の行状は語り手に引き寄せられたものになっていく。ありえない話もつけ加えられていく。そうやって流布したいくつもの伝承を不用意にまとめて作られたのが『義経記』だというのである。
高田の執筆部分も特徴がある。『吾妻鏡』などに見られる誇張を『玉葉』の記事と比較してより史実に近い源平の合戦を浮かび上がらせようとする。判官びいきによって悪者にされた頼朝を政治家として評価しようとする。また武家の棟梁として義経より頼朝が優れていたことを論証していく。
40年近く経っているので、何を今さらと思われる部分もある。それはそれとして、角川・高田両氏の大きな業績というべき本書の再登場を喜びたい。