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信長と十字架―「天下布武」の真実を追う

信長と十字架―「天下布武」の真実を追う
立花 京子
信長と十字架―「天下布武」の真実を追う
定価: ¥ 777
販売価格: ¥ 777
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発売日: 2004-01
発売元: 集英社
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信長も朝廷も「南欧勢力」の意のままだったというのはいくらなんでも、、、
著者は大学の数学科出身で、子育てを終えた後、古文書学を修め、専門家の古文書の読み方の誤りを指摘し、信長と朝廷の関係に関して新説を唱え、遂には人文科学で博士号を取得した、現代女性版伊能忠敬とも言うべき尊敬に値する人である。本書でも「天下布武」の意味を「天下」に関しては頼朝の時代に、「武」に関しては春秋左氏伝に遡って追究する等、色々教えられることは多い。しかし、本書によれば、信長は天下統一の決意の時点からイエズス会を先兵とする南欧勢力の影響・支援を受けて事業を進め、信長が意に沿わなくなると南欧勢力が朝廷も関与する謀略を立てて信長を殺し、さらに謀反人が天下人ではまずいので謀反が起こることを知らされていた(そして南欧勢力の意に沿うと思っていた)秀吉に光秀を討たせたということになるが、いくらなんでも南欧勢力の力をかいかぶりすぎだろう。著者はかつて朝廷黒幕説論者であったが、本書では南欧勢力黒幕説に軸足を移した。朝廷黒幕説では説明しきれなくなったからか。しかし、南欧勢力黒幕説を採りえないことは鈴木眞哉・藤本正行両氏の良書「信長は謀略で殺されたのか」の第六章「雄大にして空疎な『イエズス会黒幕説』」で論破されている通りである。一点、私が本書の不備な点を挙げると、本能寺の変はイエズス会が黒幕で朝廷はこれに関与し(具体的には光秀に信長討伐命令を出した)、秀吉は変の起こることを事前に知らされていたということになるが、これでは朝廷までイエズス会の意のままだったことになる。その両者、そして秀吉をいかにして結びつけたかの説明が弱い。商人が三者の間を行き来したという事実だけでは証拠として不十分だろう。南欧勢力に着目するなら、何故その究極の目的(植民地化)が日本等東アジアで成功しなかったのか、そちらの方向の研究が進むことを期待する。キリスト教弾圧は秀吉の時代から始まるのである。

海外勢力抜きでは日本史は語れない
この本は16世紀以降の日本の歴史は、全て海外勢力との絡めて、検証すべきである、という事を教えてくれた唯一の本である。グローバリゼーションという言葉が普及して久しいが、海外勢力が国内勢力に影響を持ったのは、いつ頃なのか。それは正に信長の時代である。面白いのは、未だに、信長暗殺の背後に、外国勢力がいることが、歴史学上の主流になっていないことだ。よって、その考え方も学校では教わらない。坂本龍馬暗殺しかり、田中角栄の失脚しかり、今でも日本の政治は海外の影響を受けない事になっている。この本は、現代社会を見つめる上でも、新しい視点を与えてくれた。

キリシタンが当初からゆるぎない一つの意図のもとにまとまっていたなんてことはもちろんな
 標題どおり、キリシタンと信長がどう関係していたかを主題とする本だが、冒頭の「天下布武」の意味を中国の故事や源頼朝にさかのぼって考察するところでは、主題との関連がなかなかあきらかにならない。
 キリシタンと信長が政治的・軍事的意味で深く関係していたという証拠は乏しい。しかし本書の示すようにさまざまな資料を突き合せたとき、その関係が確信されてくるというのは、歴史研究の醍醐味であろう。だが、確信が確証に変わるには更なる事実の積み重ねが必要で、本書の示す内容は確信の域にとどまる。
 そのような本の評価は、歴史研究の醍醐味を間近に感じさせてくれると見るか、単なる仮説の披瀝と見るかで、変わってくる。歴史研究の方法を示すとともに、当時のキリシタン布教に関わる資料を提示してくれる本としてとらえるなら、その価値を認めることができる。

織田信長の本