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逆説の日本史〈10〉戦国覇王編 (小学館文庫)

逆説の日本史〈10〉戦国覇王編 (小学館文庫)
井沢 元彦
逆説の日本史〈10〉戦国覇王編 (小学館文庫)
定価: ¥ 690
販売価格: ¥ 690

人気ランキング: 7402位
おすすめ度:
発売日: 2006-06-06
発売元: 小学館
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「神」になろうとした男
「逆説シリーズ」第十作。本シリーズとしては珍しく、信長一人に一冊を割いている。著者の力の入れ方が分かる。

信長の天下統一の過程は人口に膾炙しているので、流石にエピソードに目新しいものは少ない。ただ、他の戦国大名があくまで足利幕府の幕臣であろうとしたのに対し、信長一人が天下統一のビジョンを持っていたのは天才と言う他はない。著者が塩野氏の弁を引用して「現在の日本に宗教戦争がないのは、信長が400年前に追い払ったからだ」と述べているのは卓見。私は藤沢周平氏のファンなのだが、信長の宗教政策に関する限り、塩野氏の洞察力に軍配を上げたい。そして、信長が新しい日本の「神」になろうとしていたという論にも賛成である。信長流の合理的発想で、将軍・天皇を越えた存在になるためには、こうする他はないからである。一見、破天荒のアイデアだが合理性を貫くと行き着く先はココしかない。本書中に出て来る安土城のCG画像を私もTVで観た事があるが、信長の絶対神思想が痛い程伝わって来た。「鉄甲船」の逸話は初耳だが改めて信長の天才を感じる。また、秀吉に先立つ信長の「東アジア経営構想」論にも驚いた。「本能寺の変」は武将としての光秀の"本能"的行動と考えるのが自然であろう。

著者の贔屓の信長に捧げた、シリーズ中でも最も熱気溢れる作品。過熱気味の宗教論を含め、著者の気魄が全編から伝わって来る渾身の一作。

未来のリーダー達へ
非常識を常識にしていく、国の新しいグランドデザインを呈示し実現に導く、タフで力強いリーダー像が描かれています。私観ですがこれを可能にしたのは、幾人かの初期の天皇、源頼朝、織田信長、一部の維新元勲達のみではなかったかと思います。信長がただの残虐な変革者ではないと数々の具体的証拠(政教分離など)をあげて言い切った著者に、ある意味で賛辞の念を感じた読者は少なくなかったのではないでしょうか?
また同時に真のリーダーとは?という疑問も提示されている気がします。我々日本人はこの疑問を充分に考える必要があるのではないでしょうか。変革期のリーダーは本流とは違うところから生まれてくることが多い。今も日本のどこかで傍流から現状の限界を見据え、様々な力を蓄えている未来のリーダー達が育っていることを祈ります。

信長観が変わりました。
織田信長が、世界史においても特筆すべき人物であるという著者の視点には同感できます。
大陸文化伝来以降、日本を統一してアジアに進出するという視点を持った初の指導者として、その実現ために天皇を越える存在となることを必要とした、権威を超える権威として「神」となることが必要であったという分析を実に冷静に行っています。
秀吉もその後の徳川家康も、信長のアイデアをいただいていたというのは本当なのかも知れません。
日本人が宗教に寛容になったのは、信長が「政教分離」を力で断行したからだ、という著者の分析は見事です。
信長は単なる虐殺好きの変わり者武将として描かれるドラマや小説は、もうつまらなくなってしまいました。
「信長が現代にいたら、どのような戦略で世界に打ってでるだろう?」と思うことしきりです。

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