完訳フロイス日本史〈3〉安土城と本能寺の変―織田信長篇(3) (中公文庫)
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発売日: 2000-03
発売元: 中央公論新社
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総タイトルが問題だが、きわめて貴重な資料。
たいへんな労作で、同時代の資料として貴重であるのは間違いない。
ただ、これに『日本史』というタイトルが付いているのは誤解を生む。
いかなる歴史書も、書き手の主観や独断を排除することはできないが、
それでもここまであからさまな主観や独断(異教徒から見れば偏見になる)で徹底されているならば、「日本史」という看板は下ろすべきだろう。
実態は、一人の宣教師の滞日数十年間を綴った「手記」「日記」であって、
たとえば同時代の日本人のものでは山科言継『言継卿記』や、吉田兼見『兼見卿記』、勧修寺晴豊『晴豊公記』などと同列の「同時代の証言」としての価値はある。
フロイスの上司にあたるバリニャーノからは「冗長すぎる」として公的記録としては評価されなかったようだが、
個人の「日記」としてとらえれば、むしろそこにはそれなりのおもしろさがある。
一宣教師にすぎないフロイスが、気負いに気負って、信長を始めとする名だたる武将や堂上公卿と交流し、彼らを評するくだりなどは、他の資料では見えない面が浮かび上がってなんとも興味深い。
好意も悪意も、ここでは隠す必要がないから実にあからさまで、だからかえって事実関係に嘘はないと逆に判断できる。
本書の値打ちは、この「偏見」にこそあるだろう。
というわけで、本書は「歴史書」ではなく、「偏見に満ちた個人の日記」として読むべきでしょう。
年よりの暇つぶし+急激な展開
カソリック宣教師の、優越感蔓延の本です。いかに、フロイスが、「日本人は勤勉で知的な民族である。」と書こうとも、言葉の端々から、「このサルどもめ!」という匂いがプンプンと漂ってきます。
ただ、日本人が知っている(と思っている)室町安土桃山時代を、別の視点から見させてくれます。この時代の風俗を、西洋の視点(我々現代人の視点に近い?)から説明してくれているので、おもしろいし、興味深いものです。我々日本人が当たり前として見過ごしていた室町安土桃山時代の風俗を改めて認識させてくれます。
この本を完訳された翻訳者の方々の努力は刮目すべきものです。この訳業によって、我々のような、語学に稚拙な者でも、中世の西洋人の考え方及び当時の世相風俗がわかるのですから。まともな、原稿がない状況で、それを、丹念に収集し、かつ、まとめ上げて翻訳するということは、尋常な努力ではなせなかったと思います。その点、すばらしいと思いますし、このような本は滅多に出てこないと思います。絶版にならないうちに買っておくこと(たとえ今すぐ読まないとしても)をお勧めします。
第3巻になって思ったこと
秀吉と勝家の賤ヶ岳合戦が出てこない。本能寺の変の後、明智光秀を討ったら急に、秀吉が太閤になっている。結局自分らに関係しないことは興味がない、これは歴史家の視点ではありません。また、最後に、浄土教に対する論破の内容が出てきますが、いかに彼らの仏教に対する理解が浅かったか、ということが良く解かります。
