織田信長合戦全録―桶狭間から本能寺まで (中公新書)
おすすめ度:

発売日: 2002-01
発売元: 中央公論新社
発送可能時期: 通常24時間以内に発送
スピードと集中の信長
「信長が長期にわたる包囲戦の効果を理解できなかったはずはない。だが、嫌う傾向にあったとはいえる」。
信長の戦い方、特に桶狭間の戦いに関しては近年新説も出ていて、それに対する反論や諸説も出ているようだ。信長は依然、歴史に興味のある者の心を捕らえる存在だ。少し前の本なので、それら新説については本書では触れられていないものの、信長の戦いをざっとおさらいする上では役に立った。
信長自身が戦場で2ヶ月以上過ごしたことがあるのは、志賀の陣と長島攻めの2回だけ、というのは言われてみればなるほど、と思った。部下たちに任せた戦いでは時間をかけた城攻めもかなりやったが、好機を捉えたときの圧倒的なスピードと兵力集中が信長の真骨頂であったことが改めて理解できた。また、ページ数は少ないながらも、秀吉、家康の戦い方との比較も興味深かった。
やっちゃった本
あ、やっちゃった!な本である。
あとがきにこうある。「ただ、一つだけは認めていただきたい。それは、私がずっと続けてきた基本姿勢、つまり良質の資料だけにこだわってかいたものということである。」(p289)
残念ながら認められません。なんたって『武功夜話』を使っちゃってるんだもん。
いや、それだけじゃない。この人『甫庵信長記』を「儒学の立場から改竄して資料的価値を落とした」と書き、『当代記』にしても「信長のころの記事に関してはそのまま使えるほどの資料的価値はない」と書いておきながら、『信長公記』にない記事をそのまま使っているのである。(p14~15)
冗談じゃない。その記事があなたのいう「良質な資料」に裏打ちされてないんだったら使用してはいけないんだし、何かそれを裏付ける同時代の良質な資料があるのならばそちらを引用すべきなんである。常識でしょ、そういうの。そこでいう「交名」がどうしても載せたいって気持ちが勝っちゃったでしょうが、それこそそれは歴史の改竄ですよ。
それに、労作だろうと、そんなことは知ったこっちゃない。自費出版とかの趣味でやってるんだったらともかく、「仕事」としてやってるだから。素人の僕が指摘できるような誤りがあるんだから到底認められません。
戦国の覇者信長を合戦史から眺めると
織田信長が関与した約30年間にわたる合戦の実相を「信長公記」などの信頼できる資料から解説した労作。著名な合戦であっても意外と信頼できる資料が少なく、その実態が分かっていない場合が多いとともに信長が多くの合戦の中で最も苦労したのはのべ十年間にも及ぶ本願寺を中心とした一向一揆との戦いであることも改めて知らされる。またすべての合戦において、すばやい情報に基づく正確で迅速な行動をとる信長がなぜ本能寺で横死するようなこととなったのか、ますます以って分からなくなる。
