司馬遼太郎 歴史のなかの邂逅〈1〉空海‐豊臣秀吉
司馬 遼太郎

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発売日: 2007-04
発売元: 中央公論新社
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司馬史観、人間的慈愛に溢れて
司馬遼太郎は、歴史小説の大作の中に独自の司馬史観を展開した。本シリーズは、広く歴史上の人物の魅力を発掘したエッセイ188篇を時代順に集大成したものである。本書は第1部で空海から豊臣秀吉を取り上げている。以下、主な人物を一口メモふうに略述紹介しておきたい。
最澄…大陸からの帰化人の家筋。顕教(風速計で風の強さを知る)、天台宗は後にそこから多数の宗教がでた。
空海…讃岐出身、稀代の秀才。入唐、真言密教(知覚を飛び越えて風そのものになる)は私たちの理解を超えた世界。生涯は伝説で装飾。本来零であることを望んだ【空】海。「如かず、真を仰がんには」その思想宗教は一代限り、それほど偉大であった。
源義経…軍事的天才故に有名になり、劇的生涯を送った。本人は不運な最期を遂げたが、義経のいない日本史は色褪せてくる。
親鸞…念仏の奥義秘伝を授かりにきた民衆に「念仏して、地獄に落ちたりとも、さらに後悔すべからず」と言う。親鸞自身、自己否定の底にへたりこんだ不動心から噴き出たものであるという。
蓮如…親鸞が否定した教団(ヨコにつながる「講」)を作った。これがなければ親鸞は埋没したかもしれない。日本の庶民が初めて仏教という文明、さらには日常の規律である「風儀」をもつようになった。
豊臣秀吉…他人の功利性を最も温かい眼でみることができたのは、諸英雄の中では秀吉のみである。歴史上の人物で、自分が主人として仕えたいと思うのは、「天下をとるまでの秀吉」であるという。晩年はずいぶんひどい人間になったが、悪役の家康のおかげで、引き立てられている。
個人だけではなく、人間の集団・組織についても言及されていて、対象は幅広い。いずれにしても、人間的慈愛に満ちた視点(好悪がはっきりして歯切れがいい)で選ばれていて、爽快である。